Dexis デジタルX線 画質の物理評価 2005/01/09 更新
Clinical Sample: 左がDexis(照射時間0.4sec)、右がフィルム画像(0.7sec)です。
営業の方の話しでは、画質は現像液などいい条件の時のフィルム写真と同じとのことでしたが、どうも今までのフィルム画像で見えていたところが見えないのです。
1.テストチャート
Dexis |
照射時間(sec) |
||||||||||
アルミ板mm | アルミホイル枚 |
0.1 |
0.2 |
0.3 |
0.4 |
0.5 |
0.6 |
0.7 |
0.8 |
0.9 |
1 |
3 | 1 | ||||||||||
2 | |||||||||||
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4 |
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OverExp | |
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8 | |||||||||||
16 | |||||||||||
5 | 1 | ||||||||||
2 | |||||||||||
4 | |||||||||||
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8 |
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OverExp | |
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16 | |||||||||||
10 | 1 | ||||||||||
2 | |||||||||||
4 | Artifa | Artifa | |||||||||
8 | |||||||||||
16 | Under | ||||||||||
15 | 1 | ||||||||||
2 | |||||||||||
4 | |||||||||||
8 | Artifa | Artifa | |||||||||
16 | Under | Under | Artifa |
Film |
照射時間(sec) | ||||||||||
アルミ板 |
アルミホイル枚 | 0.1 |
0.2 |
0.3 |
0.4 |
0.5 |
0.6 |
0.7 |
0.8 |
0.9 |
1 |
3 | 1 | ||||||||||
2 | |||||||||||
4 | |||||||||||
8 | |||||||||||
16 | |||||||||||
5 | 1 | ||||||||||
2 | |||||||||||
4 | |||||||||||
8 | |||||||||||
16 | |||||||||||
10 | 1 | ||||||||||
2 | |||||||||||
4 | |||||||||||
8 | |||||||||||
16 | |||||||||||
15 | 1 | ||||||||||
2 | |||||||||||
4 | |||||||||||
8 | |||||||||||
16 |
水色の部分がアルミホイルのストリップを判別できたものです。
灰色の部分は撮影してません。
Dexis の Sample Image 1番目はアルミホイル2枚まで判別できた画像、2番目は判別はできるものの Over Exposure のサインが現れたもの、右の画像は中央に原因不明の ArtiFact.
Film 画像の観察は、まず肉眼で行い、次に、スキャナーで読み込み(240dpi、8bitグレー)、簡単なデジタル処理試みましたが見えないものが見えるようにはなりませんでした。
以上の結果から、低コントラスト分解能は、Film Image より Dexis Image の方が優れているということになります。
アルミニウムの厚さ12, 24, 48, 96, 192μmを2-3mmの幅のストリップにしたものを厚さ3, 5, 10, 15 mmのアルミニウム板に重ねた被写体は、実験した歯科の画像システムのコントラスト分解能を評価するのに適したファントムとなっていたようです。先生の優れた実験センスに敬服します。
このような主観評価では、いつも観察者がどのようなモデルになっているか問題となるのですが、私自身は、単純な微弱信号の観察では、通常は単純なモデルを仮定してよいと考えています。先生は背景にテクスチャーのある擬似信号を加えて実験されたようですが、アルミニウムストリップのような単純な信号源のときには、結・はテクスチャーに依存しないのではないでしょうか。
そして従来のフィルムシステムとこのCCDシステムの比較では、適正な撮影条件が選ばれるなら(それは、フィルムシステムより低線量で好ましい条件ですが)、低コントラスト分解能は、フィルムシステムより優れているかまたは同等以上であるという結果を示しています。
特にこのAlファントム(3 mmから15 mm程度の歯や緻密骨の被写体相当)に対しては本CCDシステムは0.2秒程度で実験配置のときに、優れたコントラスト分解能を発揮することが明らかになりました。残念ながらフィルムではこの線量の2倍から3倍に増加しても、一度に全ての被写体厚さ上の微弱信号を視覚検出できないようですし、コントラスト分解能はCCDに較べてよくない結果でした。特に被写体の厚いところではフィルムシステムは、0.2mm程度(192μm)にならないと識別できないようです。
さて、このことから、早急にCCDの全ての性能がフィルムに勝っているというような結論を出すべきではないでしょうが、CCDは高感度で低コントラスト分解能はフィルムより優れていることは物理的には確実と思います。コントラストの高い直径0.6 mmの矯正用ステンレスワイアのような信号ではフィルムよりざらついた感じに見えるのは、高感度であるため、CCD+蛍光体やX線光子の量子モトルが目立つためと思われます。これは低感度の分だけ当然フィルムの方が綺麗に見えます。低感度増感紙の方が高感度増感紙の画像より綺麗に見えるのと同じ理由です。
このCCDシステムの優れた点は、例えばステンレスワイアの観察ではなく米粒のような被写体や低石灰化物質を観察するときに発揮されるでしょう。そのような例は先生がWebにclinical sampleで示されている多分同一患者さんの同一部位を両システムで撮影したカリエスの画像に現われていると思います。厳密に同一の投影角度でなのでエナメル質の部分では両システムの優劣が判りませんが象牙質のところではCCDの方がよいコントラストでカリエスの孔がみえていると私には思われます。いかがでしょうか。
ただし、次の点は留意する必要があります。フィルムをヴュ−ボックスで観察するとき周りを必ずマスクするようにすると検出能は飛躍的に向上します。先生は、この実験をされるときどうしましたか?そのため、同一のCRTで比較してみることも提案したのですが、先生の結果ではこのときにも結果は変わらなかったという結論でした。多分先生の結論はゆるがないでしょう。
以上、わかりやすく解説、丁寧な考察に感謝いたします。
分解能(解像度)について考えてみます。歯科用標準フィルムは、20数 Line/mm、1mm中20数本のラインを識別できる解像度があるといわれます。精巧なテストチャートがないので、実際には測定できませんが。Dexisのスペックから、32×25.6mmのセンサーエリアがPCモニタ上で640×480Pixel(VGA)の画像になることから、分解能は最高20Line/mmと言うことになります。やや不満ですが、フィルムとほぼ同等? しかし、本来歯科用X線フィルムの分解能は、そのサイズで観察するために設定されたようなもので、デジタル化して大きなモニター上で観察する環境を考えた場合、倍ぐらい(SXGA)の分解能があってもいいのではないでしょうか?きっと後、数年後には実現するでしょう。それを診たときにはきっと感動ものでしょうが・・・治療精度は?
導入した Dexis デジタルエックス線システムの疑問や不安、8割方解決した感じです。あとの2割は、20数年来見慣れてきたダイレクトエックス線フィルムシステムのイメージの束縛かもしれません。画像になるサイズが、フィルムは40×30.6mm、Dexis CCDは32×25.6mmと小さくなっていること、さらにモニター上で拡大して見ることに慣れていないからかもしれません。
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